両国の博物館と蕎麦屋にて

この夏に亡くなった多摩美落語会の先輩の納骨式に行ったニカさんが、形見分けとして蕎麦猪口と蕎麦ザルをいただいて来ました。
蕎麦打ち修行のため、両国の「江戸蕎麦 ほそ川」に通った先輩だけあって、とても良い趣味です。

これを機会に、その先輩が修行した蕎麦屋に行ってみようということになり、両国まで出かけて来ました。

まずは両国に行ったついでに、江戸東京博物館を見学して腹ごなし。

博物館の入り口は、タイムトンネルで江戸時代に向かうワクワク感があります。

タイムトンネルから見る風景は、未来的なテントがこれから行く時代とのギャップを際立たせてくれてる感じです。

建物に入り、江戸に向かう橋を渡ります。


展示の一部です。建物の詳細や人物表現まで凝ったジオラマ。
小さくなってその世界に入り込むと、活気ある江戸時代にタイムリリップできます。
多分こんなに綺麗では無かったと思うけど。

実物大に作られた建物の中には、当時の生活が再現されていました。

部屋の広さも、家財道具も究極のミニマム生活。

現代の断捨離なんて、なんと贅沢なことか。


展示物は、実際に持って体感できるものもありました。
江戸の華 火消しの纏も、庶民の商い 棒手振りの天秤棒も、メチャクチャ重かった!
纏は想像の10倍くらい、天秤棒は想像の5倍くらいの重さです。

千両箱も持ちあげてみました。重さ14kg。
重たくて、盗んだ後これを担いで屋根を軽々と走るなんてとてもできませんから。

版画の版木や工程の展示も興味深いものでした。
職人技とは言え、彫るのも刷るのも根気がいる仕事です。

芝居小屋の再現も見応えありました。
建築、ロゴ、看板、照明、一貫したブランディングが完成しています。

文明開化から震災、戦争を経た東京の変化も展示されていました。


中でも心惹かれるのはやはり昭和です。
こんなのあったね〜!という懐かしい空間を眺めながら、しばし子供時代にワープするのでありました。


過去の世界を十分に楽しんだ後、本日のメインイベントほそ川に到着しました。

国技館、江戸東京博物館のある通りの先を少し入った路地に暖簾を見つけました。
ミシュランの星を連続して獲得している由緒あるお店です。

最初にニカさんは穴子天せいろ、私は普通のせいろを注文。北海道産そば粉の十割蕎麦です。

おおっ、意外なほど結構な盛り!と喜んだのもつかの間だったことは後回しにするとして..。


確かに、キレが良くしまった蕎麦でした。
つけ汁は最高に風味豊かで美味しかったです。
でもものすご〜く期待していくのも考えもので、これなら先輩が打ってくれた蕎麦とどっこいかも。

追加で注文したせいろは産地の違う茨城産。
こちらの方が美味しかったかな。

お酒類が高価で、日本酒なんかお茶碗に軽く一杯で美味しい4合瓶が買える値段。

呑ん兵衛の平民には贅沢過ぎるランチでした。

最初のお蕎麦の盛りの話に戻ります。

手前のザルは蕎麦を食べ終えた後、ひっくり返したところです。
(先輩の形見分けと同じザルでした!)
奥は、蕎麦が盛り付けられた状態です。

つまりザルをひっくり返して山形にした表面に蕎麦が盛られて大盛りに見えただけだったのでした。

大喰らいの平民のヌカ喜びでした。

確かに、この方が水気が切れて合理的です。

でもどこか上げ底に誤魔化されたような、微妙なモヤっと感が残るのでした。

蕎麦打ちの先輩を偲んで訪れた両国で「先輩の蕎麦はミシュラン店に負けないくらい美味しかったのだ!ということが確認できました。
これはこれで良い供養になったような気がします。

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コメント

  1. カネゴン より:

    何よりの供養だったと思うわ。
    コロナ禍でちゃんとしたお別れもできなかったのでしょうから、ニカさんもこれで少し
    ホッとしたのではないかしら。
    ざる蕎麦のざるを逆さにして量を多くみせる‥って話、この前、何かで聞いたなぁ…
    オシャレな街は量は少しで上品に、って感じよね。
    やっぱりお酒は高かったか… でもたまには良いわよね。

    江戸東京博物館は出来たばかりの頃、20年以上も前かな、一度行った事があるのよ。
    ジオラマだけは記憶があるけど、あとは全然覚えていないわ。
    また行ってみたくなっちゃった。

  2. アトム より:

    そりゃモヤっとしますね(笑
    普通は竹スダレの上に載っているから山型にはできないし・・
    ちょっと口コミを調べたら「上げ底!」とミシュラン店を非難する庶民のコメがありました。
    蕎麦屋とミシュランはやっぱり相性が悪いよね。
    そういう自分もモリソバとザルソバの違いが分からない田舎者です。
    江戸東京博物館、このテーマでこの箱モノ、大都会東京の資本力は桁外れだ。

  3. ヨシコ より:

    >カネゴン
    お葬式はコロナ真っ盛りの時期で行けなかったので
    やっと御供養ができた気分です。
    御供養しながら楽しませてもらっちゃいました。

    都会のお上品な料理はたまに味わうから良いのよね。
    そのエッセンスをもらって日々の料理に生かすのが庶民の生きる道だわ。

    私も昔に一度江戸東京博物館に行ったことがあると思う。
    同じくジオラマ以外は記憶から抜け落ちていたので新鮮だったよ。
    想像以上に見応えあったから機会があったら寄ってみてね。

  4. ヨシコ より:

    >アトムさん
    ミシュラン店に庶民感覚を求めてもダメでしたよね。
    でも蕎麦って庶民の食べ物じゃなかったけ?
    まあ、何事も経験できるのはありがたい事です。

    私も、ジオラマや箱モノの中に作られた建物を見ながら
    どれだけ莫大なお金がかかったんだろうと呆れるくらいでした。
    それで一般の入館料600円は安いです。
    65歳以上のニカさんは半額の300円、申し訳ないくらい。

  5. 直子 より:

    まだお若かっただろうに・・・。
    でも本当にいい供養になったんだと思うよ。
    江戸東京博物館、いいなあ~、行ってみたい。
    特に昭和の部屋を覗いてみたいよ。
    私たちが生まれた昭和はもう遠い遠い昔になってしまったんだなあ。
    それからお蕎麦の話。
    ちょっとした詐欺だよねえ。
    久しぶりにお蕎麦を食べたくなったよ。

    • ヨシコ より:

      >ナオチャ
      まだ60代なんて早すぎて悲し過ぎるけど、寿命なんて誰もわからない。
      明日の自分だって何の保証も無いのだわね。
      でもやっぱりまだまだお互いに粘って行きましょう!

      昭和の文化住宅は、田舎育ちの私にとっては都会的に感じもしたけど
      やっぱり懐かしい世界だったなぁ。
      同じ時代を生きて来た者同志って、言葉にできない連帯感あるよね。

      お蕎麦は、そちらの方が本場だね。
      お上品でなくて良いから、美味しいお蕎麦を大盛りで食べた〜い!