今回は、エンジニア(設計者)とデザイナーの違いについてお話したいと思います。 「昇降テーブル」の例でご紹介します。 このテーブルは、福祉施設で車椅子で生活されている方が、身長に合わせて食事ができる様に天板が上下できる構造を持ったテーブルです。 画像・左のテーブルが、デザイン前の製品で、右側がデザイン後です。 エンジニアは、[天板が上下する機構][耐久性][コスト]などを考えて設計しています。手動でスムーズに上下する天板構造や、使用者への配慮、耐久性も充分で目標を高い次元で実現しています。機能的には、充分に満足するものとなっています。 ですが、、、、、何か「不自然なもの」を感じないでしょうか、、。 デザイナーの私は、どう考えてデザインするか、このテーブルでの体験でお話します。 このテーブルの使用目的をお聞きしながら、試作品(下の画像・左)を拝見していたのですが、まず感じた事は、「このテーブルが食事に相応しいだろうか」と言う事でした。 もし自分がこのテーブルを使って食事をする立場だったら「どんなデザイン」が相応しいか、と思考しました。 そして、デザインしたのが右側の製品です。(製品は、提案時から更に改良されています)
エンジニア(設計者)とデザイナーの違いは、「考え方」の違いと言えます。 製品に対するアプローチが違うも言えます。 エンジニアは、具体的な事柄の実現に向けて考えを巡らし[形]にして行きます。 デザイナーは、(必要条件を守りながら)どの様なテーブルなら[食事が楽しくなるだろう?]とイメージして、つまり抽象的な事柄を実現に向けて考えを巡らし[形]にして行きます。
製品こぼれ話:日本の色々な施設で使われる様になってきました。製造・販売している 会社の社長さんから嬉しい報告をいただきました。 このテーブルを使っている施設から「今までは、補助がないと食事を取らなかった方が、自分から積極的に食事をする様になった!」との報告でした。 「デザインには人を元気にする力がある!」と感じた嬉しい瞬間でした。
コメント
エンジニアでお客様の事を考えて仕事している人って、まだまだ少ないですからね。
それが判るエンジニアが増えたらデザイナーの仕事あがったりかも。
デザイナーの仕事の領域は、広くなってるよね、、。商品企画・設計・マーケティング・ブランディングetc、、、。設計の仕事もデザインの仕事も複雑になってるから当面は「分業」が続きそうだね。