マジラン・開発ストーリー(其の1)

■青梅市内の小さな企業(株)アサップシステムとエルグデザインのコラボレーションによる製品開発のプロセスを公開します。
これは、開発者である社長自身が「熱血短距離ランナーだった学生時代に欲しかった製品:一人でも正確に測れるタイム計測機」を実現させるまでの開発ストーリーです。

(☟画像は全てクリックで拡大します)
■青梅市内の小さな企業(株)アサップシステムから新商品開発のご相談があったのは去年の夏。 製品のコンセプトは明快でとても完成度が高いのですが、まだ形が見えていません。 助成金のめどがつき、本年の夏から新規プロジェクトが開始しました。 当初の製品名は「AS-RUN」。以下が商品説明書の原案で、左下の緑の丸の中のデザイン開発が今回のテーマです。 身体に装着して走るのですが、この時点では既製の筐体に組み込んだ部品が既製のビニール製腕バンドに入っています。

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■腕に巻くタイプは、全力疾走するには固定が不安定で、ゴール時にも誤差が生じます。 それではどこに装着しよう? 頭に巻いてキリリと気合を入れる、ハチマキタイプはどうだろう?..などとホワイトモデルにて確認します。

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(隆)デカすぎるだろう…やっぱり。

■しかし頭に付けるにはサイズが大きすぎるので、何度も基盤や部品レイアウトを設計し直しつつホワイトモデルで確認します。 このモデルはサイズ確認の一部です。

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■熱く走るには、バトンタイプも有りか…!しかし、機能的に無理が生じるので不可。そして最後に行き着いたのが、日本人にとって入魂をイメージするタスキタイプです。 アイデアは思いついてみれば一瞬ですが、設計変更を重ねてここまでたどり着くのに2〜3週間はかかっています。

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(隆)気合、入るぞ〜!

■タスキへの取り付け方法を考慮した上で、3D CAD(CG)によるデザインの方向性が決定しました。

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■デザイン決定後は、基盤や組み込み部品等のサイズとの整合性を確認した上で試作用データを起こし、インクジェットタイプの3Dプリンター(外注)にてモックアップを作成します。サポート材を剥離させた後で、予算の都合で自力塗装。

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■3Dプリンターは肌理が荒いので完成品からは見劣りしますが、安価で日程も早く仕上がります。機能試作には十分です。

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■取り合えず身体に装着すべく、収縮素材を使ってタスキモデルもお手製で作成しました。 エルグデザイン開発ストーリー

■ついに試作モデルが完成しました。 既製色と既製素材を使っているので、色のマッチングがイマイチですが、メタリックオレンジ&ブラックのスポーティーカラーで完成予定です。これを装着して黙々と練習に打ち込むランナー、格好良いと思います。 エルグデザイン開発ストーリー.jpg

■製品説明用パンフレットもエルグデザインにて作成しました。 ネーミングも「MAZIRUN:マジラン」に変更です。 アサップ原案の「ASA-RUN」と『マジに練習に取り組むイメージを取り入れたい』という隆の気持ちがコラボして生まれました。

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試作モデルが完成し、これから実際に陸上部の練習で使用してもらうモニタリングに入ります。 11月末にパンフレットを学校に送付したところ、是非使ってみたいというご要望が着々と届いているようです。 2020年の東京オリンピックに向け、一層スポーツ熱が高まる中、2016年の量産に向けての動きが始まりました。 これからが本当の勝負です!

■Point-1 ・開発者の熱い思いが大黒柱。
■Point-2 ・製品コンセプトが確立してからスタート。
■Point-3 ・助成金を活用するべし。
■Point-4 ・作りやすい方向に安易に妥協しない。
■Point-5 ・ユーザー目線で考え決定する。

2016年4/月、TCN(タマケーブルネットワーク)にて、放映されました。

エルグデザイン二階堂隆のデザインワーク

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