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タージマハルのビッグプロブレム
2001.06.16/SAT

タージマハルはイギリス人が剥がして持ち帰ってしまった宝石跡が物悲しいけど 他の建物とは一線を引く繊細でスキの無い美しさだ。

インド各地からも観光客が集まっていて、土産売りや記念写 真屋も多い。

私達を日本人と知って写真屋さんが一枚の写真を取り出した。 タージマハルをバックに微笑む工藤静香の写真だ。「これは日本で有名な歌手だろう!」といかにも自慢げ。 ニカさんが「彼女はとても有名で半年くらい前に結婚してもう子供もいるよ」 (不確かな数字ですみませんが..)と説明すると その写 真屋さんは顔色を変えて他の写真屋さんを集め始めた。

ここでインドで初めて「ビッグプロブレム!!!」の言葉を聞く。 「大変だ!」 「半年で子供!」「そんな事が日本ではあり得るのかI」と大騒ぎ。

それまでホテルのクリーニングでニカさんのズボンを10cmも縮ませちゃっても ましてや人が死んでいてもノープロブレムだったのに、なんじゃこの騒ぎは。

あんまりの反響の大きさにアラムに聞くと そんな事になったら女の人の人生はもうダメで 親戚一同も大変な事になるそうでして..。

その後、工藤静香の写真がどうなったかは全くの不明である。


▲タージマハル記念

デリーの印象は変わっていた。
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タージマハル見学後またもや車でアグラからデリーまで200kmの旅。
さすがに乱暴な運転にも身体が馴染んで来た。 見なれたインドの荒れ地もそろそろお別 れと思うと名残惜しい。


途中でボツボツッと大粒の雨が降って来た。 一瞬のうちに前の見えない程の大雨。 インドの大地がこれから雨期に向かう姿を見せてくれた。

雨あがりのデリーに無事到着。
ここでデリーの印象が最初とあまりに違うのに驚く。 それなりの都会に感じるのだ。

人々も町も小奇麗に感じる。雨あがりのせいだけとも言えない。 狐につままれたみたい。

東京に戻ったら私は何を感じるんだろう。

▲旅を共にした車と


▲ターバンと刀のおじさん

インドの女性
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インド最後の訪問地はキランさんという日本語のできるインド主婦のお宅。 デリーでもハイソサエティーなお宅でキランは数回の来日有り。 とても上品な女性で、インテリアはシンプルで質素。 日本の扇子やお皿を飾ってくれているのが嬉しい。 ヒンドュー教の神棚もあって、毎日お祈りは欠かさないそうだ。

パンジャビスーツのまま手早くインド料理を作って御馳走してくれた。 インド女性はドレスアップしてるにかかわらず、 エプロン類を一切つけないのは意外!

近頃、衛生中継で日本の凶悪な事件を見ると

昔の日本人と変わってしまったようで悲しいと言っていた。 キラン本人もインドのホンダで通訳をしていたらしいのだけれど 二人の娘さんもそれぞれ大学に入りひとりは今年から就職したとのこと。 インドでもハイソな家庭では女性でも教育を受けさせ仕事する道を選ぶ時代。

インドの女性も少しづつ変化しているのだ。 アラムは タバコを吸ったりビールを飲んでいる女性に顔をしかめたり、 GパンにTシャツ姿の女性をあんな格好をさせておくのは一緒にいる男が悪い、なんて 言っていたけれど 考えてみれば日本だって30年前くらいまでそうだったではないですか。

でもまだ今は16〜20歳くらいで親の決めた結婚をし子供を生み、家事をこなし、神に祈る。 妻が外で働くと世間から白い目で見られるというのが一般 的らしい。

今、美しい民族衣装に毎日身を包む女性は その反面で男性社会の中で自己をその中に押し込めているのかもしれない。

インドにいつまでも美しいサリー姿の女性がいて欲しいと思う反面 自立して自分の着たい物を着る女性になって欲しいともも思う。

▲キランと

日本人ブス
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インドともアラムともお別れだ。
アラムは私達との旅行は楽しかったと言ってくれた。
近頃の若い(20歳位の)日本人観光客とは会話が噛み合わないそうなのだ。
何を考えているのかわからないし、すごくわがままだから、とのこと。
若い人もそんなのばかりじゃないんだけど、アラムの暮らしを考えたら理解できるよ。
さよなら、アラムがガイドで本当に良かったよ。

空港の免税店でさっそく日本のバカ女に逢う。
お土産用のTシャツが汚れていたら黄色い声で
「やだ〜ん、このTシャツ ディス イズ ベリー きたないんだモ〜〜ン」だと..。

蹴りを入れたい気持ちをかろうじて押さえてその場を離れると今度はサリー姿のバービー人形を見つけてお宝だ〜!とギャーギャー騒ぎながら 写真を撮りまくっている日本人のバカグループを発見

..コイツラと同じ飛行機に乗って落ちるのは絶対の嫌だ..と思わせてくれる。 でも中には、「やっぱりインドでも一週間を10ドルで暮らすのは大変だっただろ 〜?」 なんて話し合ってるバックパッカーの兄ちゃん達、君たちはインドをクリアーしたね 〜。 私達おじさんおばさんには、もうとてもそんなまねできませぬ。

無事日本に着いてからバスで立川に向かう間もなぜか日本の女性がヘンに見える。
ジャージにハイヒールで決めた女性、ボロい普段着にヴィトンのバックを持ってるお ばさん。 お決まりの汚れたルーズソックスにアホギャルメイクの女子高生。

自分が着るものを選択できる結果がこれなのかと思うと..みじめ。

帰国後の気持ち
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中身1週間で、それも保護されたガラス張りの中から見て来たインドだったけど 清潔な環境、平等、教育、安全、食料 、インドにはまだ足り無いものばかりだった。

その代わり有るのは生きる事への欲求と、心の中にある神様だった。 そういう姿は動物としてとても美しく見えた。

今の日本だって生きていくのは結構大変だけど 子供の乞食が物乞いしてたり、乗り合い車の屋根にまで人が乗ったり、 早朝、通りの軒下にポツポツ人が寝ているような世界とはレベルが違う。

「今の日本が無気力に感じられるのは 食足りて、次に求めるものがうまく見つからないんです。」 ってインドの人に説明しても理解してもらえなかった。

もし日本で何をしても虚しくなったら、 是非インドへ行って人間の原始的欲求を取り戻して来てください。

でも帰国後の今、インドに生きるのと日本に生きるのとどちらを選ぶか聞かれたら それは日本の方がずっといい。

満足な食事、清潔で安全な環境、仕事がある事、健康が確保できる事、それぞれにここまで来るには御先祖様達は大変だっただろうな...と思う。

それから、自分の責任で人生を選択できると言う所がなんていっても絶対良い。

では最後に、この旅行記を読んでいただいた(特に若い)皆様、 やっぱり百分は一見にしかずです。 自分の目と心で、是非一度インドから世界を見つめてみてください。

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二階堂 美子  2001.06.30